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勝手気ままな映画レビュー

第91回米国アカデミー賞に寄せて

 

こんばんわ

 

先日の2019年2月24日(日本時間:2月25日午前)に、第91回米国アカデミー賞が、ロサンゼルス・ハリウッドで開催されました。

 

今回は、「映画芸術アカデミー(AMPAS)」も”So White"と批判され、多様性を気にしたのか、ノミネートされた役者やスタッフは黒人も少なくなく、移民のルーツを持つ者だったり、様々な出自の役者さんが登壇したように思えます。

 

各賞にノミネートされた作品も、独自のモチーフ、様々な様式をもつ作品ばかりで、今回は予想がとても難しい回ではなかったかと思います。


あまつさえ、作品賞他多数にノミネートされ、本命視されていた「ROMA」は、劇場公開されておらず、NETFLIXのネット配信映画で、しかもメキシコ映画だし。


AMPSの意識も変革の過渡期なのかもしれません。
そのうち、外国語映画賞と作品賞の垣根がなくなるかもしれません。
そうなると、是枝裕和監督やその作品が外国語映画賞ではない賞にノミネートされる可能性も出てきますね。


”垣根”を考えると、フィクションでもドキュメンタリーでも、実写でもアニメ/CGでも、すべて同じ土俵に上げて、映画作品としての評価順位をつけることが正解のような気もしてきます。


また、今回の隠れテーマである”多様性”を考えると、”男優”、”女優”と2つに区別するのも、問題ありとみなされる時代がくるかもしれません。


前回の第90回米国アカデミー賞では、”Me Too”運動で、女性来場者のほとんどが抗議の黒い服装で参加している中、最優秀主演女優賞に選ばれた「スリービルボード」の”フランシス・マクドーマンド”の受賞スピーチは、シュプレヒコールと言っていいくらいのメッセージ性を含んだ素晴らしいものでした。

 

会場にいる女性達全員に「Stand Up」を促し、「We are here!」と連呼しました。
これは、会場にいる女性がいかに少ないかを示し、映画業界においても、まだまだ、女性はマイノリティであることを認識させようとした行為でした。


素晴らしいのは、「それでも、我々(女性)はここにいる!」と、”女性というだけで、不公平な扱いをうけているかもしれない現実にあきらめることなく、変革や栄光をもとめれば、女性でもこの会場に招かれ、こうして栄誉を受けることができる!”というメッセージだったということです。


今回の受賞者の中では、最優秀主演男優賞に選ばれた「ボヘミアン・ラプソディー_」の”レミ・マレック”のスピーチが、そういった流れを組んだ素晴らしいスピーチでした。


自分の出自をエジプトからの移民第一世だと公言し、同じような境遇で、自分のアイデンティティに悩んでいる人たちにに向けての言葉として、「”フレディ・マーキュリー”というゲイで移民であることに臆することなく、誇りさえ持っていたような男の物語を、こうしてみんなが賛辞するということは、どんな出自であろうと、どんなにマイノリティであろうと、誰もが自分の物語を人の記憶に刻むことができる」(ちょっと、意訳しすぎかもしれません...。)というような意味合いのメッセージを発しました。


こんな風に、エンタテインメントに関わる人たちが、臆することなく、個人的な見解であろうとも、社会的/政治的な発言をできる風潮のアメリカは、ちょっとうらやましくもあります。

日本では、”忖度”の技術が発展し過ぎていて、スポンサーを筆頭に各関係者に迷惑がかからないように、俳優やタレントはうかつなことは言えませんからね。

 

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Remi Marek in BOHEMIAN RHAPSODY

 

それでは、また。

 

 

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フレディ・マーキュリー~孤独な道化~

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スリー・ビルボード

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